ここまでに、住宅購入を考えるための家計の土台を確認してきました。
- 第1回:借りられる額ではなく、毎月いくら残るか
- 第2回:住宅予算は年収だけではなく、手取りから考える
- 第3回:30分家計チェックで「残るお金」を確認する
- 第4回:支出を固定費・変動費・特別費の3つに分ける
今回は、住宅ローンでよく聞く**「ボーナス払い」**について考えます。
「毎月の返済額をもう少し抑えたい」
「ボーナスが年2回あるから、そのときに多く返せば大丈夫」
そう考えることもあると思います。
確かに、ボーナス払いを組み合わせれば、毎月の住宅ローン返済額を少なくすることはできます。
でも、大切なのは、
毎月の返済額が少なく見えることと、家計に余裕があることは同じではない。
ということです。
住宅ローンの「ボーナス払い」とは?
住宅ローンには、毎月一定額を返済する方法のほかに、年2回などのボーナス時に返済額を増やす方法があります。
たとえば、住宅ローンの一部をボーナス返済分として設定すると、
毎月の返済額は少なくなる代わりに、ボーナス月の返済額が増えます。
ここで気をつけたいのは、毎月の返済額が少なくなったからといって、借入額そのものが減ったわけではないことです。
返済する時期を、毎月の返済とボーナス時の返済に分けているだけです。
だから、住宅ローンを考えるときは「毎月いくら」だけではなく、1年間でいくら返済するのかまで見る必要があります。
ボーナス払いをすると、家計はどう見える?
Fさん夫婦の架空例で考えてみましょう。
※以下は考え方を分かりやすくするための架空の試算です。実際の返済額は、金利、返済期間、借入条件などによって異なります。
Fさん夫婦(架空例・子ども1人)
【表】
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 手取り | 月33万円 |
| 借入額 | 3,000万円 |
| 金利 | 年1.0%と仮定 |
| 返済期間 | 35年 |
| 返済方法 | 元利均等返済 |
| その他の固定費 | 月5.5万円 |
まず、ボーナス払いを使わない場合です。
ケース1|ボーナス払いなし
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 毎月の住宅ローン | 約8.5万円 |
| その他の固定費 | 5.5万円 |
| 固定費合計 | 約14万円 |
毎月約8.5万円を、12か月同じように返していきます。
年間の住宅ローン返済額は、およそ102万円です。
毎月の手取りの中から、住宅ローンを払い続ける形です。
ケース2|借入額の20%相当をボーナス返済分にする
次に、3,000万円のうち20%相当をボーナス返済分にしたと仮定します。
この場合、毎月返済する部分が減るため、通常月の返済額は約6.8万円になります。
一方で、ボーナス時には通常の月返済に加えて、1回あたり約10万円程度の返済が加わるイメージです。
※実際の金額は金融機関の計算方法や借入条件によって異なります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 通常月の住宅ローン | 約6.8万円 |
| その他の固定費 | 5.5万円 |
| 通常月の固定費合計 | 約12.3万円 |
| ボーナス返済 | 年2回・各約10万円程度 |
通常月だけを見ると、
8.5万円 → 6.8万円
となり、毎月約1.7万円負担が減ったように見えます。
でも、
年間で返す住宅ローンが大きく減ったわけではありません。
通常月に払わなかった分を、ボーナス時にまとめて払っているからです。
「毎月1.7万円浮いた」と考えない
ここは、とても大切です。
ボーナス払いを利用して毎月の返済額が8.5万円から6.8万円になった場合、
「毎月1.7万円余裕が増えた」
と感じるかもしれません。
でも、その1.7万円を毎月すべて使ってしまったらどうでしょうか。
年2回のボーナス返済は残っています。
そこで、考え方を変えてみます。
毎月減った1.7万円は「使えるお金」ではなく、将来のボーナス返済に必要なお金。
1.7万円を12か月積み立てれば、
1.7万円 × 12か月 = 約20.4万円
です。
年2回のボーナス返済に備えるお金と、おおむね対応します。
つまり、毎月の返済額だけを見るのではなく、年間の返済額まで見れば、家計の負担が突然軽くなったわけではないことが分かります。
ボーナスが減ったらどうする?
そして、もう一つ考えておきたいことがあります。
ボーナスは、毎月の給与と同じように将来も必ず同額が支給されるとは限りません。
会社の業績や勤務状況などによって、支給額が変わる可能性があります。
たとえば、
- 会社の業績が悪化した
- 転職して賞与制度が変わった
- 休職などでボーナスが減った
- 家族の事情で働き方が変わった
といったことも、長い返済期間の間には起こるかもしれません。
住宅ローンは35年など、非常に長い期間返済を続けるものです。
今の会社で今のボーナスがずっと続くことを前提にしてしまうと、家計の余裕が小さくなる可能性があります。
TEDORIUPは「ボーナスをゼロにして考える」
では、住宅予算を考えるとき、ボーナスをどう扱えばよいのでしょうか。
TEDORIUPでは、まず、
毎月の手取りだけで住宅ローンを返しても、家計が成り立つか。
を確認することを基本にします。
つまり、最初の住宅予算を考える段階では、ボーナスを返済の前提にしません。
ボーナスがなくても、
- 毎月の住宅ローンを払える
- 生活費を払える
- 特別費を準備できる
- 将来必要なお金も残せる
という状態を目指します。
そのうえでボーナスが入ったら、
- 貯蓄を増やす
- 教育費など将来のお金を準備する
- 住宅の修繕資金を準備する
- 必要に応じて繰上げ返済を検討する
といった選択肢を持てます。
ボーナスを「返済しなければならないお金」ではなく、「家計の選択肢を増やすお金」にしておく。
この方が、長い住宅ローン返済では家計に余白を持たせやすくなります。
ボーナス払いそのものが悪いわけではない
ここまで読むと、
「では、ボーナス払いは使わない方がいいの?」
と思うかもしれません。
ボーナス払いという仕組みそのものが悪いわけではありません。
大切なのは、
ボーナス払いを使わなければ成立しない住宅予算になっていないか。
ということです。
「ボーナスがあるから、この金額の家を買える」
ではなく、
「毎月の収入で家計が成り立つ。そのうえでボーナスをどう使うかを選べる」
という順番で考えます。
まとめ
ボーナス払いを利用すると、通常月の住宅ローン返済額を少なく見せることができます。
でも、通常月に払わなかった分は、ボーナス時に返すことになります。
だから、
「毎月いくら返すか」だけではなく、「年間でいくら返すか」まで見る。
ことが大切です。
そして、住宅ローンは長期間続きます。
今のボーナスが将来も同じように続くとは限りません。
TEDORIUPでは、
毎月の手取りで暮らしと住宅ローンが成り立つことを基本にして、ボーナスは家計の余裕として考える。
この順番で住宅予算を考えていきます。
今日の結論
住宅予算は、ボーナスをあてにしなくても返し続けられる金額から考える。
なぜ?
ボーナス払いを使えば通常月の返済額は少なくできますが、年間の返済負担そのものがなくなるわけではありません。
また、将来のボーナス額は変わる可能性があります。
あなたの場合
住宅ローンの試算にボーナス払いが入っているなら、一度、
「ボーナス払いなし」
でも計算してみてください。
その返済額でも、生活費・特別費・将来必要なお金を残せるかを確認します。
今は買わない方がいいとしたら
ボーナス払いを設定しないと毎月の家計が成り立たない場合は、住宅予算をもう一度確認してみる必要があります。
借入額を下げる、物件予算を見直す、頭金を準備する、購入時期を変えるなど、選択肢は一つではありません。
「ボーナスがあるから買える」ではなく、「ボーナスがなくても暮らせるか」。
ここを確認してから判断します。
今週の一歩
住宅ローンを「ボーナス払いなし」で一度試算し、毎月の手取りだけで返していけるか確認する。
次回予告
第6回|月3万円の貯蓄ができない家計で、住宅ローンを始めてよいのか
住宅ローンを払えるかどうかだけでなく、家を買ったあとも貯蓄を続けられるか。
次回は、「毎月の貯蓄」と住宅購入の関係について考えていきます。
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